独白 愉快な“病人”たち

プロレスラー 長州力さん(63) アキレス腱断裂

長州力さん(C)日刊ゲンダイ

 俺は選手時代から風邪をひくこともなかったし、病気もケガもなかったね。レスラーはみな専用バスで一緒に移動だし、宿泊先は旅館で雑魚寝。早く伝染しやすい環境だったけど、隔離されるほどひどい風邪をひくヤツもいなかった。レスラーはみんな、風邪を病気だと思っていなかったのかな。今では地方で泊まりなら、ホテルで個室だけどね。

 大きなダメージといえば「アキレス腱断裂」。

 1993年、42歳の時、青森のリングに立ってゴングが鳴ってすぐだった。ボーンとロープに体を預けてバウンドしようとした瞬間、爆竹か何かが鳴ったような大きな爆発音がした。でも、ここは体育館の中、そんな火元もない。バットで足を強く殴られたような大きな痛みがした。と、思った瞬間、つまずいて転んだ。「何でこんなところで転ぶんだ?」と思った時には、右足首から下がプラプラ。力が入らなくなっていた。動けないから、どうにもできない。そのまま退場、不甲斐ない試合になった。

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