家計簿を見れば病気がわかる

ハンバーガー好きの栃木県民 肥満は多いか

(C)日刊ゲンダイ

 消費税の軽減税率の議論がかまびすしい今日この頃。欧州では、「イートイン」と「テークアウト」で異なる税率を課している国も多いそうです。最近はファストフードに独立した税金を課す国まで出てきています。

 例えばハンガリー。2011年から「ハンバーガー税」を導入しています。ハンバーガーなど、健康を損なう恐れのある食べ物に税金を課しているのだとか。韓国やロシアでも、ファストフードに課税すべきという意見が強まっています。また14年から、国連と世界保健機関(WHO)が、「健康のためにハンバーガーやフライドポテトを減らそう」と各国に呼びかけを始めています。

 何しろ有名なハンバーガーの世界企業ですら、社員向けホームページに「健康のために自分たちが売っている商品をできる限り食べないように」とコメントを出していたほどです。

 しかも、それがバレて全米のマスコミに叩かれ、慌ててホームページを閉鎖したという話もあります。

 日本では、早い時期にトランス脂肪酸の使用量を減らすなど、健康に悪いというイメージを払拭する努力が続けられています。しかし、ハンバーガーの消費は停滞ないし減少気味です。表1は、最近5年間の2人以上世帯、単身世帯が、ハンバーガー(外食)に使った金額の全国平均です。単身者でも、年間2000円前後しか使っていないのですから、あまり気にする必要はなさそうです。

 とはいえ、都道府県でかなりの差があります(表2)。

 ただし、家計調査の都道府県別データは2人以上世帯のみで、単身世帯については公開されていません。

 トップは栃木で、1世帯当たり約5700円を使っています。なぜ栃木が1位なのかは分かりません。

 ただ、栃木は洋食(外食)にかける金額も全国1位。洋食の代表はハンバーグでしょうから、県民こぞってハンバーガー好きといえそうです。

 最下位は岩手で約2500円。トップとは2倍以上の開きがあります。岩手のみならず、東北地方は全体的にハンバーガーの購入量が少ない傾向にあります。

 栃木県民に特に肥満が多いとか、生活習慣病が多いといったデータはありません。しかし、食べ過ぎれば健康への影響が出てくるのは必定。ほどほどに制限するのに越したことはありません。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。