介護の現場

25人を夜通し介護して月収20万円

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「ベッドに横たわっていた80代の老人が、いきなりウンコを投げてきて、私の衣服を汚す。記者さんは、給与をいくらもらえば、汚物にまみれたこうした老人介護の職業に就きますか」

 こう語るのは、50歳を越えたばかりの細野芳三さん(仮名)である。

 東京・杉並区に住む細野さんは40代半ばまで、1部上場企業に勤務する将来を約束されたエリートサラリーマンだった。

 独身で、年収も1000万円を超える悠々自適の恵まれた生活。だが、ささいなことで上司と意見が衝突し、会社に辞表を叩きつけた。

 退職後、しばらく失業保険と蓄えを崩して生活していたが、やっぱり働きたい。再就職活動を始め、決まったのが介護の仕事だった。

「50歳近くになって、自分が満足できるような就職先などありません。すぐにでも就職できるのは、人材不足が常態化している介護関係でした」

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