また、病状によっても自己血輸血はできません。まだ待機できる状態で、予定手術を行う患者さんに限られます。解離性大動脈瘤などによる緊急手術の場合はもちろん無理ですし、重症の大動脈弁狭窄症の患者さんは、血液を貯蓄すること自体が大きなリスクになります。貯血している最中に致命的な合併症を起こす可能性があるので、その間に手術してしまったほうがいいでしょう。
自己血輸血による手術は、輸血部などの専門科があり、自己血を貯蓄できる設備がある病院なら、手術の前に医師から提案されることが多いと思います。もちろん、患者さんの方から「自己血輸血の手術ができますか?」とたずねてみるのもいいでしょう。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」