医者も知らない医学の新常識

グルコサミンとコンドロイチンは効くのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「グルコサミン」と「コンドロイチン」は、いずれも関節軟骨の成分で、年齢とともに減少して、変形性膝関節症の原因のひとつとなります。そのため、不足したグルコサミンとコンドロイチンをサプリメントとして補充することが膝の痛みを改善し病気の進行を遅らせるとして、テレビなどでも盛んに宣伝されています。実際、こうしたサプリメントのCMが流れない日はないといっても過言ではない印象があります。皆さんの中にも毎日飲まれている方もいらっしゃると思います。

 ところが、その効果はそれほど明確に証明されていません。昨年のリウマチ関係の専門誌に掲載された論文では、「偽薬とサプリメントを比較したところ、症状の改善には特に違いはなかった」という結果です。関節の所見の悪化を少し予防したという知見はありましたが、ごくわずかな変化です。

 今年の同じ専門誌に載った論文では、整形外科で使用される痛み止めとサプリメントを比較していますが、その効果に差はありませんでした。グルコサミンとコンドロイチンを一緒に使うと、関節炎の進行を予防する作用が少しはありそうなのですが、それは皆さんが実感出来るようなものではないということです。仮にサプリメントで痛みが取れたとすれば、それは多分に心理的なものなのです。

 ただ、整形外科の痛み止めもその効果は同じようなものなので、安全性という点ではサプリメントに軍配が上がるかも知れません。いずれにせよ、サプリメントはその効果と安全性の情報をしっかり検討した上で使用するようにしましょう。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。