薬に頼らないこころの健康法Q&A

精神科医が実践しているメンタル管理

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ

 精神科医の場合、外来が最大の激務です。したがって、外来日に体調がベストになるよう心がけています。週5日外来に出ていますが、前日は原則として酒は飲みません。外来診察は午前中の日は9時から午後3時ぐらい、午後の日は1時から5時までです。この時間帯に一日の心身のコンディションのピークが来るようにしています。

 精神科の外来というものは、患者の数も多いですから、時間との闘いです。自分の全診察時間を患者数で割った時間が、患者さん1人当たりの時間ということになります。すべての患者さんに公平にご奉仕させていただくためには、1人の患者さんに長く時間をとるわけにはいきません。「お大事に」と言って患者さんを送り出した瞬間に、もう次の患者さんのことを考え始めています。前の患者さんのことを引きずった状態で、次の患者さんに接することは失礼なことですので、直ちに切り替えます。

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井原裕

井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。