ニューヨークからお届けします。

全米で注目 ボクシングで「パーキンソン病」症状が軽減できた

 パーキンソン病患者のための意外なセラピー「ボクシングセラピー」が全米ネットのテレビ番組で紹介され、大きな話題になっています。

 日本では難病指定されているパーキンソン病患者は、アメリカに100万人いて、毎年6万人が新たに診断を受けているといわれます。

 ボクシングの元ヘビー級チャンピオンのムハマド・アリ、俳優のマイケル・J・フォックスなどが患者として知られています。

 手足の震え、言語障害、曲げ伸ばしが硬くなり、バランスが悪くなるなどが特徴的な症状で、有効な治療法は見つかっていません。ところが、「ロックステディー・ボクシング」と名付けられたボクシングセラピーが、患者の症状を軽減すると注目されているのです。

 ロックステディー・ボクシングは2006年、インディアナポリス大学で考案され、今では全米50カ所、さらにイタリア、オーストラリア、カナダのジムでクラスが開催されています。

 通常のボクシングと違って激しく闘うことはしませんが、ストレッチで体が硬くなるのを緩和し、フットワークでバランスを養い、パンチは震えを、大声の叫びが言語障害を緩和する効果があることがわかっています。

 インディアナポリス大学で2年間行った調査によれば、ボクシングセラピーを受けた患者には、症状が進行しなかっただけでなく、軽減した人もいました。

「強度の高いエクササイズは脳のドーパミンを増やし、神経細胞を増加させるのではないか」と研究者らは推測。今後、病気の治癒にもつながる可能性もあるということで、まさに病気と闘うボクシングの効果に、熱い視線が注がれています。

▽シェリーめぐみ ジャーナリスト、テレビ・ラジオディレクター。横浜育ち。早稲田大学政経学部卒業後、1991年からニューヨーク在住。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

関連記事