家計簿を見れば病気がわかる

魚を丸ごと食べる富山・石川県民は美肌

15年の富山県観光大使
15年の富山県観光大使(C)日刊ゲンダイ

 都道府県の魚(鮮魚)の消費量と、循環器病の患者数には、これといった相関が見られませんでした。しかし、肌の健康とは大いに関係しているようです。

 化粧品大手の㈱ポーラでは、毎年「美肌県グランプリ」を開催し、インターネットで結果を公表しています。同社は「全国47都道府県、16歳以上の女性の肌、累計1500万件を超える」肌データを有しており、しかも「1日平均約3000件」の新規データが追加されているそうです。まさに肌のビッグデータです。その膨大なデータをもとにつくったのが、美肌ランキングです。

 過去4年間にわたって、福井県が美肌1位を獲得していますが、同県は比較的多く魚を消費しています(2014年の順位は12位)。そこで、試しに最新(2014年)の魚の消費量(購入量)上位県・下位県と、美肌ランキング2015年の順位を並べてみると、〈表〉のようになりました。

 魚の消費量が1位の青森県が、美肌ランキングでは42位となっているのはちょっと残念ですが、それを除けば、明らかに消費量の多い県の順位が高く、少ない県は軒並み下位になっています。美肌グランプリのホームページによれば、青森県は意外にも夏の日照時間が全国3位の長さだそうです。紫外線の影響で、肌が荒れやすいのかもしれません。

 同ホームページには、魚を丸ごと食べることが、美肌の秘訣のひとつとしています。確かに美肌県は家計調査でも、イワシ、サンマ、カレイなど、「丸ごと・内臓ごと・皮ごと」食べられる魚の消費が多い傾向にありました。また、富山県や石川県ではブリがよく食べられています。魚の皮や骨には、美肌の有効成分が豊富に含まれているのです。逆にマグロ、カツオ、タイなど、主に身だけを食べる魚を多く消費している県は、美肌ランキングが必ずしも高くありません。

 あくまでも女性のデータに基づいたランキングですが、男性にも有効であるはず。まあ、中年男性がいまさら美肌を目指しても、気持ち悪いだけかもしれませんが。

 しかし関節の軟骨や腱などは、肌と同じ成分でできています。肌が健康なら、関節や腱も丈夫なはずです。肌によい魚を日常的に食べ続けていれば、老後の関節のトラブル予防に有効かもしれません。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。