医療数字のカラクリ

進行がん「治さない方がいい」とも言い切れない

 前回は「進行がんと宣告されたら、残りの時間は全部、自分のために使った方がいい。治療なんか無駄だ」というニュアンスで書きました。しかし、現実はそう簡単ではありません。

「頑張って6カ月、治療に集中したにもかかわらず死んでしまった」という例と、「1カ月は自由に暮らせた」という例を比較するのは、治療のメリットを無視し過ぎという面があるからです。

 実際、6カ月間治療に集中したら効果があって、その後、元気な1年が手に入ったというケースもあるのです。

 そうなると「治療なんて無駄だから、残りの時間は全部、自分のために使った方がいい」と断言することはできません。どちらを選ぶかは難しいところです。

「治療などしないで自由に過ごす」か「治療を頑張る」かの選択は、その時の治療の効果がどれくらい期待できるのか、危険がどれくらいなのか、が重要になります。

1 / 2 ページ

名郷直樹

「CMECジャーナルクラブ」編集長。東大薬学部非常勤講師。東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員、臨床研究適正評価教育機構理事)自治医科大卒。名古屋第二赤十字病院にて研修後、作手村国民健康保険診療所にてへき地診療所医療に携わる。95年同診療所所長。05年東京北社会保険病院臨床研修センター長。「『健康第一』は間違っている」などの著書がある。