医療数字のカラクリ

進行がん「治さない方がいい」とも言い切れない

 前回は「進行がんと宣告されたら、残りの時間は全部、自分のために使った方がいい。治療なんか無駄だ」というニュアンスで書きました。しかし、現実はそう簡単ではありません。

「頑張って6カ月、治療に集中したにもかかわらず死んでしまった」という例と、「1カ月は自由に暮らせた」という例を比較するのは、治療のメリットを無視し過ぎという面があるからです。

 実際、6カ月間治療に集中したら効果があって、その後、元気な1年が手に入ったというケースもあるのです。

 そうなると「治療なんて無駄だから、残りの時間は全部、自分のために使った方がいい」と断言することはできません。どちらを選ぶかは難しいところです。

「治療などしないで自由に過ごす」か「治療を頑張る」かの選択は、その時の治療の効果がどれくらい期待できるのか、危険がどれくらいなのか、が重要になります。

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名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。7月末に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)を出すなど著書多数。