指の毛も大事、角質は落とす…冬が危ない“足トラブル”対策

イタタッと思ったら…
イタタッと思ったら…(C)日刊ゲンダイ

 冬の健康トラブルといえば、寒暖差による脳や心臓の病、乾燥肌などが思い浮かぶ。しかし、「寒い冬は足のトラブルも多いんです」と言うのは、日本初の足専門クリニック、その名も「足の診療所 表参道」の桑原靖院長(顔写真)だ。「ポダイアトリスト」という足に特化した医療を提供する専門医がいる米国に比べ、「日本は足への関心や理解が低い」と警鐘を鳴らす。中高年が注意すべき冬の足トラブルについて聞いた。

■足の指に毛がないのは危険信号

「男性なのに足先が冷える、温めてもなかなか改善しないという場合は、『足の動脈硬化』の疑いがあります」

 足の動脈の血管が何らかの原因で狭まり、足先まで血液が巡らなくなって、冷たさを感じている可能性があるのだ。冬は寒さで血管が収縮するため、より症状を悪化させやすい。

「心臓の動脈硬化と同じで、原因は体質や生活習慣です。特にたばこが危険因子。悪化すると短時間の歩行ですら苦しくなり、最悪の場合は足が腐り、切断しなければならなくなります」

 セルフチェックの方法は、足の甲の血管を触ってみること。「ドクドクと脈を打っていなければ、相当血流が悪くなっている。足の指に毛が生えていないのも、指先に血液や栄養が行き届いていない証拠」だそうだ。

■重曹を使って古い角質落とし

 冬になると乾燥して足のカカトがひび割れる。血がにじみ、痛がゆくて我慢できないと悩む人も。

「加齢とともに肌の水分保持力は落ちるので、ひび割れに悩む中高年世代は多いですね。特に糖尿病の人は要注意です。糖尿病を患っていると、合併症の神経障害により痛みを感じにくくなるので、ひび割れを悪化させやすい。抵抗力も落ちているので、ひび割れから感染症を引き起こしやすく、最悪はやはり足が腐って切断というケースです」

 対処法は、とにかくひび割れた古い角質をとって、新陳代謝を促すこと。

 専門医に行けば角質をとる塗り薬を処方してもらえるが、家庭で独自に行いたい場合は、バスタブやバケツに湯をはり、重曹をスプーン1杯(約10グラム)入れ、15分ほど足をつけると、古い角質がとれ、ツルツルの健康的な肌がよみがえるという。

■合わない靴でのジョギングが炎症を招く

 冬といえばマラソンシーズン。にわかにジョギングを始める人も多いが、「そうした方々が原因不明の足の痛みに悩み、来院するケースが毎年後を絶ちません」。

 原因の多くが、合わない靴をはいて無理を重ねることで足の裏が炎症を起こす「足底筋膜炎」。最初は“朝起きると1歩目が痛い”という症状。しかし昼には痛みがおさまってしまう。そこで油断して放っておくと、やがて昼になっても痛みが取れなくなり、ついには歩けないほど重症化。炎症で足がパンパンに膨れ上がって初めて病院に駆け込む患者は多いそう。

「こうなるとステロイド注射や、体外衝撃波などで炎症を抑える治療が必要となってくる。こうならないためには、足に合ったシューズや中敷きを使い、運動前後には、しっかりとアキレス腱のストレッチを行うのが重要。当クリニックではそのアドバイスも行っています」

 文字通り足元をしっかり固めて、寒い冬を乗り切ろう。

関連記事