医療数字のカラクリ

余命宣告の数字は他人のデータ

 数字で示される余命は、自分に当てはまるかどうかわかりません。そのデータはあなた自身の人生から導き出されたものではなく、あなたに似た患者を集計して求められたものである上に、そのまた平均的な数字に過ぎないからです。

 そういう意味で、「そんな他人のデータが当てになるか」というのは至極もっともな意見です。余命についてのデータは、「あなた自身の将来を個別に予想しているわけではない」「自分がどうなるのか、他人のデータを見てもわかるわけではない」ということは繰り返し強調したほうがいい、重要な事実だと思います。

「あなたの余命は平均1カ月だ」と言われても、1カ月後に、自分は死んでいるか生きているかのどちらかで、50%生きているというようなことはありません。確率という数字は、集団に対して適用できても、個人個人には適用不可能な面があります。そのため、数字で余命を説明し始めると、それがどんなに詳しい説明であっても、個人個人にはどうにも受け入れられないという状況をつくります。

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名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。7月末に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)を出すなど著書多数。