梅毒を昔の病気とみくびるなかれ 若い女性に患者急増の理由

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 女性の梅毒患者数が急増して深刻な問題となりつつある。

 国立感染症研究所がまとめたデータによると、全国の梅毒患者の報告数は10年ほど前から増加傾向だったが、2008年の831人をピークに10年は621人まで減少。ところが11年から増加に転じ、今年は10月末の時点で2037人に達した。昨年1年間の1671人を超えたのだ。

 さらに深刻なのが20~24歳の若い女性だ。女性の年齢別では177人と最も多く、なんと昨年同時期の2.7倍に急増している。性感染症が専門の医学博士・尾上泰彦氏は「世界的なパンデミック状態です。患者の中には来日中のアジア圏の女性もいると考えられます」と警告する。

 なぜ、女性患者が増えているのか。東京医科歯科大名誉教授・藤田紘一郎氏(感染症学)に聞いた。

「コンドームをつけずにセックスするからです。若い女性は世間知らずで受け身になりがちだから、コンドームなしでしたがる男性につい押し切られてしまいます。HIV感染が深刻だったころは注意の呼びかけが盛んで、若者もコンドーム装着を心がけましたが、最近はHIVを軽視し、梅毒を“昔の病気だ”とみくびっているため予防が手薄になっているのです」

 藤田氏によると、ビタミンB不足などで性器の粘膜が弱まったり、免疫力が低下しているときが要注意。梅毒の感染者と1度セックスしただけでうつってしまう。オーラルセックスでも感染する可能性があるという。

 恐ろしいのは淋病と違って痛みなどの自覚症状がないこと。女性が感染に気づかず妊娠すると、流産や死産に至ることも。胎児の脳内に菌が入ると、知的障害が起きる危険性が生まれる。

■放置しておくと命にかかわることも

 梅毒にかかっている女性を見分けるにはどうすればいいのか。

「外見からではなかなかわかりません。顔色が悪い女性に注意というくらいです。セックスの際は女性器に『硬結』というイボ状のかたまりや炎症が見られないかを確認。海外の医師によると性器のにおいでも分かるそうです。健康診断では必ず血液検査を受け、梅毒菌の有無を聞くようにしてください」(藤田紘一郎氏)

 梅毒に罹患して放置しておくと、動脈瘤ができて破裂し、命にかかわるそうだ。アナタもすぐ娘や風俗嬢に教えたほうがいい。