Q
15年前に僧帽弁閉鎖不全症の手術を受けました。1年前あたりから再び息切れなどの自覚症状が表れ、再手術が検討されました。しかし、医師からは「前回の手術による癒着がひどく、再手術すると大出血して命に関わる危険がある」と断られました。やはり、再手術は断念したほうがいいのでしょうか。(80歳・女性)
A
私自身も含め、外科医が手術をするかどうか迷うケースはいくつかあります。まず、自分が頭に思い描いている手術をするにあたって、心臓や血管に到達するまでのアプローチに制限を受ける場合です。
いただいた質問もそうですが、再手術の患者さんの場合、前回の手術による癒着がひどく、臓器や血管が複雑にくっついてしまっているためスムーズに患部にメスを入れることができないケースは少なくありません。
また、心臓の手術をする前に食道がんの手術を受け、胸骨下、心臓の前に代用食道があるケースなども、簡単には患部に到達できません。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」