Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【北の湖さんのケース】直腸がん診断から4年後の訃報は「急逝」か

北の湖敏満さん(C)日刊ゲンダイ

 昭和の大横綱は、最期まで相撲を愛していたのでしょう。今月20日、直腸がんによる多臓器不全で、62歳で亡くなった北の湖敏満(本名・小畑敏満)さんのことです。

 日馬富士の優勝で幕を閉じた九州場所には、相撲協会理事長として初日から九州入り。連日、報道陣に取組を熱く解説する傍ら、親しい関係者には「腰が痛い」と漏らし、車いすに頼るシーンもあったそうで、千秋楽の2日前、貧血などを訴え、搬送先の病院で帰らぬ人に。亡くなる直前まで角界に寄り添った人生といえます。

 直腸は大腸の一部で、肛門から20センチほどの部分。そこにできたがんは早期なら手術によって9割が完治します。しかし、病状の経過や多臓器不全という結末から、がんはかなり進行していたのでしょう。多臓器不全は、がんが複数の臓器に転移し、それぞれの臓器が機能不全に陥った状態。がんの終末期によく見られます。

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中川恵一

1960年生まれ。東大医学部医学科卒業。同院緩和ケア診療部長を兼務。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。