Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【北の湖さんのケース】直腸がん診断から4年後の訃報は「急逝」か

北の湖敏満さん(C)日刊ゲンダイ

 何度となく触れましたが、川島なお美さん(享年54)や愛川欽也さん(享年80)も延命治療を拒否したことで、亡くなる直前まで仕事をこなしていました。治療法の選択を間違えなければ、がんは亡くなる直前まで普通に生活できる病気なのです。

 最初の直腸がんが見つかった11年は、角界に八百長問題が浮上し、春場所が中止になりました。正義感の強い方でしたから、自分の体の治療より角界のトラブル処理を優先して、手術が1年後になったのかもしれませんが、早期発見できていたのかどうかは気になるところです。

 便検査は、便の潜血反応からがんや潰瘍、ポリープなどを見つける検査。これを年2回受けると、早期の大腸がんが見つかり、死亡率が3割以下に下がります。健康診断での検便をおろそかにせず、異常が指摘されたらすぐ治療を受けることです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。