相変わらず、バター不足が続いています。国内の牛乳生産者減少による原料不足と、国の輸入制限が大きな理由です。ただ、さすがに年末にかけての需要増を放置しておくわけにはいかず、政府は11月末に輸入制限を一時的に停止すると発表しました。
バターの代用品といえるのがマーガリンです。大豆やコーンなどの植物性油脂に、水素を添加して作られます。滑らかさを出すための乳化剤や、バターに似た色合いを出すため着色料なども使われています。
栄養学的には、バターのほうが高カロリー(100グラム当たりバター約750キロカロリー、マーガリン約630キロカロリー)、しかもコレステロール量も圧倒的です(同バター約210ミリグラム、マーガリン約5ミリグラム)。しかしバターには、ビタミンAがニンジン並み(同約700マイクログラム)に含まれています(マーガリンは、ほとんどゼロ)。
バターとマーガリン、どちらが健康にいいかは判断に迷うところです。単純にカロリーとコレステロール量だけをみるなら、マーガリンに軍配が上がります。しかしマーガリンには、トランス脂肪酸が多いのです。
トランス脂肪酸は、悪玉(LDL)コレステロールを増やし、善玉(HDL)コレステロールを減らす働きをします。WHO(世界保健機関)が、トランス脂肪酸の摂取量を、成人1日当たり2グラム未満に減らすよう勧告を出しているほどです。
バターとマーガリンの都道府県別の消費量は、〈表〉のようになっています。バターは京都がトップ、マーガリンでも2位です。しかしバターやマーガリンが、京都府民の健康を害したという話は聞きません。
ちなみにマーガリンは、パンに塗られるだけでなく、パンそのものにも(ケーキやお菓子にも)、材料のひとつとして豊富に使われています。成分に「ショートニング」と書かれたものをよく見かけますが、それはマーガリンのことです。つまり京都府民だけでなく、国民全員が、かなりの量のマーガリンを日常的に消費しているということです。
しかし、この点に関して日本マーガリン工業会が独自の調査を行ったところ、日本人のトランス脂肪酸の摂取量は、WHOの勧告よりも少ないことが明らかになりました。
家計簿を見れば病気がわかる