薬に頼らないこころの健康法Q&A

「うつ病」だと思ったら貧血だった!?

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ

【Q】
 26歳の女性です。設計事務所に勤務しています。このところ疲れやすく、からだが重く感じます。集中力が落ち、頭がぼんやりし、急に動悸や息切れがすることもあります。ネットで調べたら、うつ病やパニック障害に該当するようでしたので、総合病院の精神科で診てもらいました。採血後に告げられたのは、「うつ病ではなく、貧血です。鉄分が足りない」ということ。抗うつ剤ではなく、鉄剤が出されました。ほんの4カ月前の定期健康診断のときには何も言われませんでしたので、少々意外でした。「うつ病だと思ったら、実は貧血」、そんなことがあるものでしょうか。

【A】
「鉄欠乏性貧血」になると、うつ病そっくりの症状が出ます。憂うつ感、倦怠感、疲れやすさ、集中力の低下、頭痛、めまい、不安、動悸、息切れなどです。「うつ病そっくりの貧血」「パニック障害そっくりの貧血」については、精神科医仲間でも最近、その話でもちきりです。

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井原裕

井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。