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ニューヨーカーが関心 「テロの恐怖に負けない」心理学

 世界を震撼させたパリのテロ事件は、ニューヨーカーにとっては「9・11」の悪夢を思い起こさせるもの。ニューヨークのメディアでは「テロの恐怖に負けないためにはどうしたらいいか」というテーマによる心理学者へのインタビューが次々に報じられています。

 ランゴン・ニューヨーク大学病院のマーク・シーゲル教授は「テロのショックは人間を呆然とさせる。次は自分かもしれないという恐怖と、そこから生まれるストレスで健康を害し、日常生活を破壊する。それがテロの目的」と断った上で、「果敢な救出劇などの人々の勇気に注目すべき。なぜなら、勇気という感情は恐怖と同じ強さで脳に働き、人から人へ広がっていくから」とコメントしています。

 コロンビア大学病院のディレクター、アン・マリー・アルバーノ氏は、「ニュースやソーシャル・メディアに触れ続けていると不安が増大する。子供を学校に送っていく時はラジオのニュースは聞かないなど、メディアに触れる時間をコントロールした方がいい」とし、「何かあった時にどう行動するか、家族で話しておくことも大切」と話します。

 そして最も重要なのは、「普通の日常生活を続けること。安全を確保しようとするあまり、公共交通機関を利用しない、人の集まるところに出かけないなど行動範囲を狭めてしまっては、それこそテロリストの思うつぼ。自分たちと異質の人間と常に接触することで視野を広めることが大切」と語っています。

 実は、これらは9・11直後にも語られたことで、9・11を体験したニューヨーカーから見れば、これが当たり前の日常でもあります。

▽シェリーめぐみ ジャーナリスト、テレビ・ラジオディレクター。横浜育ち。早稲田大学政経学部卒業後、1991年からニューヨーク在住。

シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com