当事者たちが明かす「医療のウラ側」

「徒歩・自転車」より「電車・バス通勤」

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「将来は重役になって、社用車で通勤したい」。かつてはそんな夢を語る野心家の若手サラリーマンがたくさんいましたが、いまの若手は“そんなの格好悪い”と思うようです。私の患者さんで、この春、中小企業の重役になられた方も、電車・バス通勤を続けておられます。実はこれ、健康のコツでもあるのです。

 今年の米国心臓協会年次集会で、通勤に鉄道やバスなどの公共交通機関を利用している人は、自動車やバイクを使う人に比べて糖尿病や肥満、高血圧などの生活習慣病リスクが27~44%も低いと報告されたのです。

 これだけなら、“車やバイクに乗り、体を動かさなければ病気になるのは当然だろう”と思うのですが、徒歩・自転車通勤している人に比べても、生活習慣病リスクが低いというから驚きです。

 対象となったのは大阪府守口市で2012年に行われた健診データ。就労者5888人を調べたところ、1361人が自動車・バイク通勤者で、電車・バス通勤者が1039人、徒歩・自転車通勤が3488人でした。通勤手段別のそれぞれの有病率は、糖尿病が8.3%、3.5%、5.8%、高血圧は36.9%、21.7%、29.6%、肥満が33.4%、17.0%、21.6%だったそうです。

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