医療数字のカラクリ

余命宣告を受けた後の生き方

 平均余命6カ月というような数字は自分に当てはまるかどうかわからない平均値に過ぎません。ところが、その宣告を受けたことで、これまでの人生というものまで無意味にしてしまう行動に出てしまうかもしれません。

 しかし、進行がんと診断されるまでの人生は、その後のことよりはるかに重要だと思うのです。ですから、宣告後はそれまでの人生を振り返る時間さえあれば、十分ではないでしょうか。もちろん54年も生きているので、これが40年なら、30年なら、というとまったく違ってくるに違いありませんが……。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。