しなやかな血管が命を守る

【アテローム血栓症】 早期発見には循環器ドックが有用

東邦大学佐倉病院の東丸貴信教授(C)日刊ゲンダイ

 全身性動脈硬化性疾患の早期診断のためには、足関節上腕血圧比(ABI)検査、末梢動脈や頚動脈超音波検査、MRI(MRA)、造影CT検査などの機能診断と画像診断が重要ですが、確定診断は冠動脈などの血管造影検査で行います。

 全身性動脈硬化性疾患の早期診断は全身の動脈硬化性疾患を確認するだけでなく、将来の虚血イベント発症の最も有力な予測因子です。例えば、PADで5年後の心血重症虚血肢まで悪化するのはわずか5~10%、切断にまで至るのは2~3%にすぎません。しかし、その後の経過をみてみると、5年間で30%近くも死亡しています。これは心血管イベントのためです。

 動脈硬化性疾患患者のその後の経過を改善するためには、動脈や末梢動脈などの局所のカテーテル治療などに加え、他の血管疾患の早期診断治療も必要です。さらに全身の動脈硬化症の管理が重要になってきます。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。