どうなる! 日本の医療

数年後には民間病院がバタバタと倒産する?

「国の医療費が40兆円超えと大騒ぎしていますが、対GDP割合に占める日本の総医療費は、OECD加盟国で平均並みなのです。しかも、ヨーロッパ諸国では国民の窓口負担額はほとんどゼロ。一方、日本は2割、3割負担です。それを考えれば国の医療費負担は少な過ぎます」

 そもそも昨年、消費税を5%から8%に引き上げたのは何のためか。増税の3%分は社会保障費に回されるはずだったのに、医療費に回されたのは増税分の1、2割のみで、それ以外は別の予算に流用されている。

「安倍首相は外遊のたびに他国に気前よく数千億単位の開発援助資金をバラまいて、軍事費も過去最高に増大。一体その原資はどこから出ているのか」(本田医師)

 こうした批判に対して診療報酬アップ反対派の「健康保険組合連合会」は11月20日の「中医協総会」で、「一般病院では公立病院を除くと50~299床規模で黒字を維持している」と指摘。診療報酬引き上げ派の「日本医師会」の、「国公立以外の民間病院は20~49床が赤字に転落し、50~99床も苦しくなっている」という反論に耳を貸さない。

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。