介護の現場

入居者2人を24時間体制 いつ事故が起こるか内心ヒヤヒヤ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「介護職員が街頭に出て全国デモをするとか、施設で介護拒否でも起こさない限り、政府は動いてくれないのではないでしょうか」

 深刻な表情でこう語るのは、関東圏で特養老人ホームやグループホーム、NPO老人ホームなどを運営している事業主のAさんである。老人介護を対象にした介護事業に携わって約20年。本人も70歳を越え、長男や親族にいくつかの施設の理事長職を任せているが、いずれの施設も運営は綱渡りだ。

 介護福祉士やケアマネジャー(介護計画)、給食係など数十人の職員を抱えていても、土曜や日曜、祝日もない。

 介護は24時間体制のハードな業務。その点、病院と変わらない。だが、「寝たきり」といった高齢者の専門介護という責任が重い事業主は、365日、正月も休みがない。

 ベッドの上に残された山のような汚物を丹念に清掃し、排泄物にまみれた老人を風呂場に引率して洗ってあげる。引率する職員にも汚物と臭いが付きまとう。

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