そうした患者さんが来院された時、まずは最新の診断機器で丁寧に検査を行い、「手術可能で、その後の回復も見込める」と判断できれば、手術に臨みます。今は心臓や冠動脈の立体画像を驚くほど正確に映し出せる心臓3D―CTなど、さまざまな診断機器が進化しているので、事前に手術の“設計図”をしっかり描くことができます。それに沿って手術を進めることが何より大切なのです。
手術の際は、メスを入れる場所を変える工夫をするなどして、別方向から丁寧に癒着の剥離を進め、1回目の手術の時と同じような状態に持っていければ、手術はほとんど成功します。
また、今は人工心肺を使った超低体温循環停止を行えば、うかつにメスを入れられないような状態でも、手術することが可能になってきています。患者さんの体温を15~20度くらいまで下げてから、人工心肺による血液の循環を一時的に停止した状態で手術を行う方法です。
天皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」