エイズを知る

<1>“アメ玉大”の薬を1日1回服用する最新治療

 CD4は500以上が正常で、風邪やインフルエンザ、ヘルペス、淋病などいろいろな感染症にかかると、それに応じて数値が下がる。200を下回ると、エイズ発症のリスクが高まるため、300前後から治療を始めるという。

 実際、HIV感染者の3人に2人がこの段階から治療をスタートさせ、1カ月に1回くらいの頻度で通院して血液検査を受ける。発病の怖さと隣り合わせながら、通院の負担は少ない。最新の治療なら、1日1回1錠の薬を服用するだけだ。

「2年前に登場した『スタリビルド』という薬がそれです。もちろん、一生飲み続けることが必要ですが、きちんと服薬しながら治療を受けている人なら、寿命をほぼまっとうできる上、異性とのセックスで妊娠・出産もできます。1997年に登場した『多剤併用療法=ART療法』で、エイズは発病を食い止められるようになりました。ただ、当時の治療だと、服用する薬の種類は多くて20種類。服薬のタイミングもバラバラで、飲み忘れが多くなり、治療をやめてしまう人が少なからずいました。新薬の登場で、こうした離脱リスクは格段に減っています」(藤田氏)

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