Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【中村紘子さんのケース】 大腸がん メタボな食生活が引き金に

 50年前、映画「三丁目の夕日」に描かれたころは、干物などわずかなおかずでご飯をかき込むような食生活でした。炭水化物の摂取量が多く、脂質やタンパク質が少ない。それから50年、脂質の摂取量が増え、大腸がんの患者数は10倍に増えています。

 今年5月に大腸がんで亡くなった俳優・今井雅之さん(享年54)は、自衛隊仕込みのトレーニングで体を鍛え抜いていたそうですが、生前、元気なころは明け方まで飲み歩くことがしばしばあったとか。体形がメタボかどうかは関係ありません。

 逆に野菜や海藻などに含まれる食物繊維は、大腸がんを抑制することが知られています。肉や揚げ物などはほどほどが一番ですが、どうしても食べたいときは、野菜を食べてから。そうすると、食物繊維の働きにより、脂肪分の吸収が抑えられるのです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。