家計簿を見れば病気がわかる

独身男性は妻帯者より飲酒代が5倍、たばこ代は3倍多い

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 50代、60代の単身者の死亡率は、結婚している人の2倍から3倍以上です。その家計調査の数字から、外食費が突出して多いという特徴が見てとれます。しかし単に外食が多いというだけなら、意識的に栄養のバランスよく食べることによって、病気を防ぐことも可能でしょう。問題は、外食費の中身です。

 実は一番多いのが飲酒代。男女・全年齢の平均で、年間約4万6000円となっています。2人以上の世帯の飲酒代は約1万7000円(全国平均)ですから、独身者は妻帯者と比べて3倍近くも飲み代に使っていることになります。

 さらに男女別・年代別に見ると、〈表〉のようになります。働き盛り(35~59歳)の独身男性は、9万円近くを飲み屋に支払っています。毎月に直せば約7300円なので、大した金額ではないかもしれません。しかし、これはあくまでも全国平均の数字。まったく下戸の人もいる半面、毎月数万円を費やしている人も少なくないに違いありません。

 それに加えて、家飲みの酒代もあります。35~59歳の独身男性で見ると、酒類の購入金額は約4万6000円。内訳はビール(約1万5000円)、発泡酒(約1万円)、焼酎(約7000円)などとなっています。

 加えて、たばこ代もバカになりません。独身男性(35~59歳)は実に約3万5000円(2人以上世帯は約1万2000円)も使っています。独身女性(~59歳)でも1万円以上です。つまりそれだけ独身者の喫煙率が高く、2人以上世帯のほうがより禁煙が進んでいるということでしょう。

 とはいえ妻帯者の世帯には、「小遣い(使途不明)」という項目があります。世帯主の小遣いは、年間約9万3000円。その中から飲み代やたばこ代に消えていく額も少なくないはずなので、独身者と妻帯者の差は、そこまで大きくないかもしれません。

 しかし、飲酒と喫煙が過ぎれば、さまざまな病気のもとになります。50代、60代の独身男性の死因を調べてみると、妻帯者と比べて、糖尿病・急性心筋梗塞・不整脈・脳卒中などのリスクがかなり高くなっています。がんのリスクも全体的に高めです。突然死や孤独死を避けたかったら、日々の支出をチェックしてみるべきでしょう。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。