薬に頼らないこころの健康法Q&A

不登校の“息子”にどう接するか?

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(提供写真)

 この“なじめなさ”に大人たちは慣れっこです。もはや強い不安を抱くことはありません。一方で、思春期の生徒たちは、ついこの間までは自分と世界が矛盾なく調和した子供の世界に生きていました。だから、違和感自体が未曽有の経験です。おそれ、おののくのも無理はありません。

 ともあれ、具体的な打開策を2点ほど。

 第1に、昼夜リズムを正常化すること。中学生にとっての必要な睡眠時間は、8~9時間程度。それを通常登校する生徒たちと同じ時間帯にしましょう。7時には起床し、それに合わせて午後10時から11時には就寝することが大切です。

 第2に、勉強の遅れを取り戻すこと。個別指導の塾でもいい。家庭教師でもかまいません。何であれ勉強を再開することです。来春には高校受験があります。受験とは言い訳無用で勝負しなければいけない機会であり、このような「逃げてはいけない状況が人生にはある」という事実を思い知る上でも、受験は大切なイベントだといえるでしょう。

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井原裕

井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。