これまで、高断熱住宅がもたらす“寒くない住環境”の健康効果を取り上げてきたが、もう少し詳しく見ていく必要がある。高断熱で冬の室温が改善されても、暖房の取り方しだいでは、天井と床付近では大きな温度差ができるからだ。
実際、「断熱性の低い一般住宅」「高断熱住宅」「床暖房を導入している高断熱住宅」の3種類の家で、床に近い室温と家庭血圧の関係を調べたデータ(首都圏在住の男女137人)がある。
まずは、一般住宅と高断熱住宅ではどれくらい温度に開きがあるのか。検証を行った慶応義塾大学理工学部・システムデザイン工学科の伊香賀俊治教授が言う。
「床からの高さが1.1メートル付近の室温が20度になるように暖房したとき、床から0・1メートルの室温が何度くらいになるかを比較しました。高断熱住宅の場合、同等もしくは低くても1~2度の差でした。ところが、一般住宅では足元の室温が5度前後低いことが分かったのです」
健康は住まいがつくる