家計簿を見れば病気がわかる

独身男性は弁当やおにぎりを食べ、年間2万円を薬に使う

(C)日刊ゲンダイ

 独身者は外食が多いのは当然としても、なにかほかの特徴はあるのでしょうか。言うまでもなく、食事の基本は主食です。その傾向が分かれば、全体像も見えてくるはずです。

 まずは「米」です。働き盛りの独身男性(35~59歳)で、年間約6000円を支出しています。スーパーで売られている一般的な銘柄米は、5キログラムで2000円ほどですから、約15キログラム(100合相当)消費していることになります。しかし34歳以下の男性では、その半分の50合ほど、同じく女性では、たったの40合に過ぎません。これらの数字は平均値なので、実際には自宅で米を一切炊かないという人も大勢いるはずです。

 米よりも好まれているのが「パン」です。男性(35~59歳)で約1万4000円。さらに「麺類」への支出金額も米を超えています。独身者に限れば、パンや麺が主食といったほうが合っているのかもしれません。

 麺類の中では、男女ともカップ麺への支出が1位です。独身者は、男女を問わず、自宅で煮炊きすることは少ないようです。買ってきてすぐに食べられるものが好まれているのです。

 家計調査には「主食的調理食品」という項目もあります。弁当、持ち帰りの寿司、おにぎり、調理パンなどのことです。独身者はそちらにもかなりの金額を使っています。言うまでもなく「弁当」が1番人気です。たとえば男性(35~59歳)でこの項目の年間支出額は約6万1000円ですが、そのうち3万3000円が弁当です。

 独身者は、外食を除けば、主にパンとカップ麺と、弁当やおにぎりを食べて生きているということです。ご飯をあまり炊かないのですから、野菜や肉や魚を調理することも少ないでしょう。炭水化物と脂肪は足り(過ぎ?)ているでしょうが、タンパク質、ビタミン、ミネラルは不足気味になりそうです。

 こうした食事を続けていくと、栄養バランスを崩して、体調不良に陥りやすくなるものです。独身者(男女・全年齢の平均)が医者にかかった費用は約1万9000円、市販薬の購入金額は約1万6000円でした。2人以上世帯では、それぞれ4万円、2万8000円だったので、やはり独身者のほうが、健康に不安や問題を多く抱えていると言ってよさそうです。

永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。