怖い薬の飲み合わせ

<第2回>水虫の飲み薬は命に関わる飲み合わせがある

 水虫は多くの人が密かに悩まされている疾患です。治療には薬が使われるのが一般的で、その多くは塗り薬です。

 こうした外用薬で副作用が問題になる心配はほとんどありません。

 ただ、水虫の症状が重くなると、内服薬を使用するようになるケースがあります。このとき多用される「イトリゾール」(一般名:イトラコナゾール)という薬は、他の薬との飲み合わせに注意が必要です。

 イトラコナゾールは肝臓で薬の代謝に関わる酵素の働きを阻害します。薬が分解されにくくなるため、一緒に他の薬を服用すると、作用が強くなって副作用が表れやすくなるのです。

 たとえば、睡眠導入剤「ハルシオン」(同:トリアゾラム)は、作用が増強してもうろう状態になり、歩けなくなってしまう危険があります。作用時間が延長してしまい、翌朝もずっと眠気が続く副作用が出ることも考えられます。

 他にも、高血圧治療薬として多用される「カルブロック」(同:アゼルニジピン)やED治療薬「レビトラ」(同:バルデナフィル)も作用増強をもたらし、血圧が下がり過ぎてしまったり、頭痛、ほてり、動悸などの副作用が出る恐れがあります。

「キニジン」などの抗不整脈薬は、命に直接関わる可能性があります。薬の働きが強まりすぎて、致死性の不整脈につながるQT延長が発現する可能性があるのです。

 こうしてみると、水虫の飲み薬は、飲み合わせに注意しなければならないものが多い薬剤といえます。

 外用薬(塗り薬)ではなく飲み薬で水虫を治療している人は、自己判断で他の薬を服用することは避け、薬剤師に相談してください。

深井良祐

深井良祐

86年岡山県生まれ。岡山大学薬学部大学院在学時に薬学系サイト「役に立つ薬の情報~専門薬学」(http://kusuri-jouhou.com/)を開設。医薬品卸売企業の管理薬剤師を経て独立し、現在は医療系コンサルタントとしても活動。株式会社ファレッジ代表取締役。