水虫は多くの人が密かに悩まされている疾患です。治療には薬が使われるのが一般的で、その多くは塗り薬です。
こうした外用薬で副作用が問題になる心配はほとんどありません。
ただ、水虫の症状が重くなると、内服薬を使用するようになるケースがあります。このとき多用される「イトリゾール」(一般名:イトラコナゾール)という薬は、他の薬との飲み合わせに注意が必要です。
イトラコナゾールは肝臓で薬の代謝に関わる酵素の働きを阻害します。薬が分解されにくくなるため、一緒に他の薬を服用すると、作用が強くなって副作用が表れやすくなるのです。
たとえば、睡眠導入剤「ハルシオン」(同:トリアゾラム)は、作用が増強してもうろう状態になり、歩けなくなってしまう危険があります。作用時間が延長してしまい、翌朝もずっと眠気が続く副作用が出ることも考えられます。
他にも、高血圧治療薬として多用される「カルブロック」(同:アゼルニジピン)やED治療薬「レビトラ」(同:バルデナフィル)も作用増強をもたらし、血圧が下がり過ぎてしまったり、頭痛、ほてり、動悸などの副作用が出る恐れがあります。
「キニジン」などの抗不整脈薬は、命に直接関わる可能性があります。薬の働きが強まりすぎて、致死性の不整脈につながるQT延長が発現する可能性があるのです。
こうしてみると、水虫の飲み薬は、飲み合わせに注意しなければならないものが多い薬剤といえます。
外用薬(塗り薬)ではなく飲み薬で水虫を治療している人は、自己判断で他の薬を服用することは避け、薬剤師に相談してください。
怖い薬の飲み合わせ