つまり、うつ病や双極性障害といった「気分障害」や「不安障害」などは、脳の神経細胞が元に戻らないほど深刻なダメージを受ける手前の段階とも考えられるのだ。
では、この新しい考え方に従うと、現在の抗うつ薬の代表的なターゲットであるセロトニンはうつ病には無関係なのか?
「そうではありません。脳内のミクログリアが放出する炎症性サイトカインは、セロトニンの原材料であるアミノ酸(トリプトファン)の代謝をセロトニンが作られない方向に誘導します。さらに、セロトニンの再取り込みを行うセロトニントランスポーターの働きを活発にするため、脳内のセロトニンが不足してうつ症状が生じやすくなるのです」
つまり、炎症がセロトニン不足を誘導し、うつ病の引き金になるという。
この「うつ病炎症説」が正しいとすると、具体的にうつ病の治療はどう変わるのか?