医療数字のカラクリ

進行がんの余命は死刑囚の執行日予測と同じくらい難しい

 生存率にまつわる数字のカラクリを長々とみてきましたが、これまでのポイントを一度まとめておきましょう。

 生存率を平均値だろうが、中央値だろうが、90パーセンタイルで表そうが、どれも自分に当てはまるかどうかわからない「代表値」に過ぎません。

 中央値のような真ん中あたりの値は、大部分の人に当てはまりそうな気がしますが、実はほとんどの人には当てはまりません。大部分の患者の生存期間は平均値より短いか長いかのどちらかで、中央値ぴったりという人はむしろ少ないのです。

 ここで思い出すのは死刑囚のことです。死刑囚は、自分の刑執行の日をその日の朝まで告げられないそうです。「そんなかわいそうな」と思われるかもしれません。しかし、生存曲線が示すものもまさに同じで、死期が近い進行がんの人ですらその日がいつなのかは、ほとんどわからないのです。

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名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。7月末に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)を出すなど著書多数。