医療数字のカラクリ

進行がんの余命は死刑囚の執行日予測と同じくらい難しい

 わかるのはあくまでも全体の確率だけです。その意味では、進行がんの人は、刑執行の日をその日の朝に知らされる死刑囚より、さらに不確定な状況に置かれています。すなわち、死ぬその日の朝になっても死期を知らされないわけです。

 そう考えると、中央値の意味を正しく理解するというのも困ったことかもしれません。「生存期間の中央値が6カ月です」と聞いた時に、6カ月くらいは生きられるんだと誤解したほうがまだましで、「自分は明日死ぬかもしれない」と正しく考えられると、かえって不安が大きくなるかもしれないからです。数字に強くなると、その日の朝になっても執行の日を聞かされない死刑囚のようなものかもしれません。難しいものです。

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名郷直樹

名郷直樹

「武蔵国分寺公園クリニック」院長、「CMECジャーナルクラブ」編集長。自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、東大医学教育国際協力研究センター学外客員研究員。臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「検診や治療に疑問を感じている方! 医療の現実、教えますから広めてください!!」(ライフサイエンス出版)、「逆説の長寿力21ヵ条 ―幸せな最期の迎え方」(さくら舎)ほか。