鼻の高周波ラジオ波治療は日本でも昔から行われてきました。針が太く、初期はコテでジーッと焼く感じで効果がありました。しかし、十分な麻酔が必要で、痛みに弱くなってきた現在の日本人にはかなりきついかもしれません。
実際には鼻の下甲介にある肉の塊に細い針をブスッと刺して、肉の内側の組織を固めることにより、粘膜の塊自体を小さくします。
レーザー治療が粘膜の表面をあぶる治療であるのに対して、高周波ラジオ波治療は粘膜の下の組織を凝固させるので、より深いところからの減量を図ることが可能です。さらには、くしゃみや鼻水に関わる神経組織の凝固も期待できるといわれています。また、治療効果の期間もレーザー治療にくらべて長続きします。
高周波ラジオ波はコンピューターで針先の熱の加減をモニターして制御しながら、鼻の粘膜を保持したまま鼻の中の組織だけを凝固することができます。
針は「単極型」と「双極型」の2タイプあります。「単極型」は針を細くすることが可能で、あまり深く刺す必要がないため当然痛みも少なく、術中術後の出血が少ないという利点があります。痛みを嫌う米国では今でも主流ですが、メーカーの販売戦略から外れたために、生産中止ともいわれています。
「双極型」の針も最近は細いタイプがでてきました。しかしどうしても「単極型」にくらべると太くなるため、術中術後の出血の可能性があります。そうしたことから米国では軟口蓋や舌の奥を小さくする手術において、長い間承認されませんでした。
私の経験では、鼻の手術では「単極型」も「双極型」も痛みや出血に大きな違いがなく、現在では「双極型」が主流になりつつあります。
のどや舌の手術では「単極型」が良さそうですが、手術効果もそんなに期待できないうえ、日本では保険治療の対象ではありません。そのため新しいシステムが出るまで「双極型」が主流となりそうです。
米国ではアレルギー性鼻炎以外にも、「高周波ラジオ波治療」は鼻づまりのあるいびきや睡眠時無呼吸の治療のファーストチョイスです。
ただし、医療側にとっては医療機材のメンテナンスの問題があり、局所麻酔も必要です。それによるショックの可能性や、刺した部分の粘膜や骨壊死が起きた場合は治癒に数カ月かかることもあるので、合併症がほとんどないレーザー治療を先に行います。
高周波ラジオ波治療は、それでも鼻閉が改善しない場合に、十分に患者説明して、承諾を得てから行います。
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