どうなる! 日本の医療

数百億円の負債を抱えて…都内の私大病院が「倒産」する日

 全国一律の診療報酬額の中で診療報酬が抑制され、利幅が薄くなれば、人件費が全国一高い東京都の病院から最もダメージが表れ始める。東京都の看護師の平均収入は523万円で、全国の平均473万円より1割ほど高いという。九州と関東地方を比較すると、その格差は2割となる。

 首都圏の看護師の人件費が高くなっている理由は、病院数が多く、施設基準を満たすためには看護師を奪い合うしかないからだ。

 そもそも、看護師の養成数が少な過ぎる。例えば人口10万人あたりの理想的な看護師数は727人。これを満たすには、1学年あたりの看護師養成数をあと5000人増やさなければならないという。これは無理な話だ。結局、慢性的な看護師不足の中で看護師の奪い合いが起こり、人件費がどんどん高くなっているのだ。

 このしわ寄せが、研究費にカネがかかる、特に私大医科大学の経営に重くのしかかっているという。

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。