漢方達人をめざせ!

商談になるとせき込むのはストレスが原因かもしれない

(C)日刊ゲンダイ

「せきが止まらない」と言うのはKさん(58)。突然、せきが出始めるとなかなか止まらず、会話もできなくなるそうです。

「休日はまだいいのですが、仕事中は困ります。商談中や会議など“今出たら困る”という時ほどせき込むのです」

 最初は風邪薬を飲んでいたKさんですが、さすがに1カ月を過ぎてもよくならないのでやめたとか。市販のせき止めの薬を飲んだこともあるそうですが、効き目をあまり感じなかったそうです。

「くしゃみや鼻水はありません。もしかして、風邪じゃないのかも……」

 仕事について聞くと、半年ほど前から大がかりなプロジェクトに参加していて、気が休まることがない。しかも、この1カ月ほどは納期が迫っているのに進行が予定より遅れていて、焦っている……。

「せきはストレスが原因かも。気が停滞すると肺の機能が落ちて、咽喉から胸元がふさがるような感じになり、せきとして出るのです」

 Kさんに説明し、肺の機能を高める半夏厚朴湯をおすすめしました。これでまずはつらい状態を改善し、あとはうまくストレス発散に努める。「自分がストレスを感じている」と知っているだけでも、ずいぶん違います。

 Kさんの場合、仕事のことばかり考えてカリカリしがちなのを回避するため、夜は好きな本を読んだり音楽を聴いたりしてリラックスするように努めました。

 また、夜遅くまで残業していたのをやめ、朝早く出社して仕事をするようにしたそうです。「その方がストレスが減るような気がします」とのこと。実際、2週間もしないうちに、せきが治まりました。

久保田佳代

久保田佳代

父は乳児院院長、母は薬剤師、長女は歯科医、次女は眼科専門医という医療一家に産まれたが、昨今の臓器医療である西洋医学とは違い、人に向き合い、カラダとココロの両面から治療が行える漢方を志し20余年経つ。昭和薬科大学卒業、老舗漢方薬局を経て、「氣生薬局」開局。サプリメントアドバイザー、漢方茶マイスター、日本プロカウンセリング協会1級など多数資格取得。「不妊症改善における実力薬局100選」に選ばれている。