Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【患者数急増の大腸がん】予防する生活習慣とアスピリン

日本人の「メタボ化」で患者数急増(C)日刊ゲンダイ

 海外の研究ですが、ハムやソーセージなど加工肉をよく食べる人は、大腸がんの発症リスクが18%アップするという報告がありました。日本はもとより世界的なメタボ化と大腸がんの増加傾向にマッチする結果です。日本人を対象にした研究でも、肉全体の摂取量を控えた方が、大腸がんのリスクが低下する傾向がうかがえますから、脱メタボの食事と運動不足の解消が大腸がんの予防になります。お酒の飲み過ぎも要注意です。

 大腸がん予防には、生活習慣の改善が大切なのですが、もうひとつ注目のニュースが。アスピリンが大腸がんを予防する可能性があることから、国立がんセンターや京都府立医大のグループが臨床試験を始めたのです。

 事前の研究により、アスピリンを飲んでいるグループは、飲んでいないグループに比べて、大腸がんの前兆であるポリープの再発が40%低下。たばこを吸わない人に限ると、60%以上下がることが分かっています。この結果から、大腸がんの予防効果も期待できるのではないかと考えられたのです。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。