家計簿を見れば病気がわかる

独身男性は女性よりがん死亡率が高い

(C)日刊ゲンダイ
心臓病や脳卒中よりもマシだが…

 独身者が心臓病や脳卒中で亡くなるリスクは、論文にもよりますが「結婚している人と比べて、数倍~10倍以上も高い」と報告されています。では、がんではどうでしょう。意外なことに、既婚者と比べてさほど高くはありません。

 たとえば50代男性で見ると、全がん死亡数は、妻帯者が7439人、独身者は4471人でした(2014年)。独身率を24%として計算すると、独身者のリスクは妻帯者の1.9倍になります。

 つまり50代独身男性ががんで命を落とす確率は妻帯者の2倍に満たないのです。心臓病や脳卒中と比べれば、差は小さいといっていいでしょう。また、女性の独身リスクはさらに低く、50代では1.7倍、60代では1.5倍にとどまっています。

 独身者のほうが、がんになりやすい遺伝的体質を持っているとは考えにくいので、この差は主に生活習慣、とりわけ食事などに由来するはずです。女性は男性よりもマメに自炊し、栄養バランスも考えているので、それだけがんに対する独身リスクが小さいのかもしれません。

 臓器別に見ると、男女とも膵臓がんのリスクが低めであることがわかります。既婚者と比べて、せいぜい1.4倍のリスクです。膵臓がんの原因は、いまだによく分かっていません。独身リスクが低いのは、膵臓がんが生活習慣とあまり関係していないことを意味しています。ただし、飲酒は膵臓がんの原因のひとつと考えられています。先週見たように、男女を問わず独身者のほうが既婚者よりも飲酒の機会が多い傾向にあるので、そのことが数字に表れているのかもしれません。

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 肺がんでは、男女とも独身リスクがやや高めです。おそらく喫煙の影響でしょう。やはり独身者のほうがたばこの消費が多い傾向にありますから、それが数字に表れていると考えられます。

 酒とたばこが過ぎると、食道がんにかかりやすくなります。とくに独身女性の食道がんリスクが高めなので、飲み過ぎ・吸い過ぎには注意が必要です。

 ほかには大腸がんと直腸がんのリスクが、男女ともに高めです。大腸がんは、とくに肉食と関係していることが知られています。独身者はどのくらい肉を食べているのでしょうか。あすはその点を見ていきましょう。