薬に頼らないこころの健康法Q&A

不登校の“娘”にどう接するか?

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ
不登校中も再登校の準備ならできる

【Q】
 中学1年生の娘を持つ母親です。入学早々にテニス部の練習で先輩とひと悶着あったらしく、それ以降は休みが多くなりました。何とか中間・学期末試験は受けましたが、夏休み中は部活の練習にも出ず、自宅で過ごしました。「2学期からは行く」と約束していたのですが、あけてみたら不登校に。学校に行かない理由を聞いてもしゃべってくれません。ただ、学校以外の話題なら話しますし、食事や入浴も普通です。家事も手伝ってくれ、家族とも外出し、塾にも通っています。週に1度、スクールカウンセラーの先生が訪問してくれますが、話は弾まないようです。専門のお医者さんに診てもらい、本人が何を思っているのか聞いてもらった方がいいのでしょうか。

【A】
 プロの精神科医といえども、しゃべりたくない人をしゃべらせることはできません。精神科医は少し誤解されていますが、刑事のように「口を割らせる」ことが仕事ではないのです。

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井原裕

井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。