薬に頼らないこころの健康法Q&A

不登校の“娘”にどう接するか?

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ

 お母さまとしては、なぜ、学校に行かないのかの理由を知りたいとお思いなのでしょう。しかし、多分、娘さんは医者にもしゃべらないでしょう。お母さまやお父さま、学校の先生に対してもしゃべらないのですから、まして、初対面の医者に対して心を打ち明けることはないでしょう。

 娘さんの不登校の場合、最初は理由があったのでしょうが、もう今となっては時間も経っています。最初の理由から解きほぐしていっても実りはないでしょう。理由を語らせれば、それで学校に行けるわけでもないと思います。

 逆にいえば、理由がわからなくても、できることはあります。まず、塾の頻度を増やしましょう。そして、学校の先生と連絡をとって各科目の授業の進捗状況を教えてもらい、それを塾の講師に伝えて、追いつくための勉強計画を一緒に作ってもらいます。

 また、起床・就床時刻を登校前提の時間に設定します。23時就床、7時起床などです。そして、日中、学校に行けなくても、授業の行われている時間には机につくことを習慣付けましょう。1時限目、2時限目、3時限目から、昼食の時間、昼休み、午後の授業など、一通り学校と同じ時間で過ごすのです。

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井原裕

井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。