怖い薬の飲み合わせ

<第3回>糖尿病の人はうかつに風邪薬を飲むな

写真はイメージ
写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 糖尿病の患者さんは、血糖を下げる薬を注射したり、服用されているケースが多いでしょう。血糖をコントロールするために毎日必要な薬なだけに、体調を崩してしまった時など、他の薬を飲む際は注意してください。

 たとえば、風邪をひいてしまった時、安易に風邪薬を飲んではいけません。ドラッグストアに行くと、たくさんの総合感冒薬が販売されていますが、そこに含まれている成分によっては、危険な状態を招くことがあるのです。

 広く知られているバファリンなどにも含まれている解熱成分「アスピリン」には、インスリン(血糖値を下げるホルモン)の働きを強める作用があります。

 また、アスピリン自体に血糖値の低下作用があるため、糖尿病治療薬と風邪薬を併用すると、低血糖に陥るリスクが高くなります。低血糖を起こすと意識を失ったり、転倒して骨折したり、事故につながるケースもあるので危険です。

 反対に、血糖値をアップさせてしまう風邪薬の成分もあります。たとえば、せき止めの成分である「メチルエフェドリン」には血糖値を上昇させる作用があるので、糖代謝に異常をもたらします。

 このメチルエフェドリンは、漢方薬でせき止めの成分として使われている「麻黄」という生薬にも含有されています。麻黄は葛根湯をはじめとした、さまざまな漢方薬に含まれているので、糖尿病の患者さんは気を付けてください。

 通常なら手軽に飲んでしまいがちな薬でも、糖尿病の患者さんにとっては危ない飲み合わせになるケースは少なくありません。だからこそ、自己判断ではなく、薬剤師などの専門家を活用する必要があるのです。

深井良祐

深井良祐

86年岡山県生まれ。岡山大学薬学部大学院在学時に薬学系サイト「役に立つ薬の情報~専門薬学」(http://kusuri-jouhou.com/)を開設。医薬品卸売企業の管理薬剤師を経て独立し、現在は医療系コンサルタントとしても活動。株式会社ファレッジ代表取締役。