家計簿を見れば病気がわかる

独身男性は妻帯者の2倍以上大腸・直腸がんになりやすい

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ
独身者は外食でかなりの肉を食べている

 独身者は既婚者と比べて、がんで亡くなる確率が高めです。中でも大腸・直腸がんは要注意。独身男性のリスクは50代で既婚者の2倍、60代で2.3~2.5倍となっています。また、女性は50代で1.7~2.1倍、60代で1.7倍です。

 大腸・直腸がんが肉消費と深く関係しているのは、よく知られた話。肉を食べている人ほどリスクも上昇します。では独身者は、肉を大量に食べているのでしょうか。

 実は独身者はもともと自炊の習慣が薄いため、肉もあまり買っていません。2人以上世帯(平均構成人数3人)の1年間の肉消費額は約8万6000円で、1人当たり2万9000円近くになります。

 しかし、独身男性の消費額は、全年齢区分でこの額を下回っています。働き盛り(35~59歳)で見ると、妻帯者の約半額に過ぎません。

 一方、女性では35~59歳でほぼ同額。60歳以上では少し上回っていますが、大量に消費しているというほどではありません。

 となると、独身者の大腸・直腸がんのリスクが高いのは、肉のせいではない印象を受けます。ところが外食に目をやると、話はだいぶ違ってくるのです。

 肉中心のメニューが多い、中華と洋食で比較してみましょう。男女ともに独身者の出費が、既婚者を大きく上回っています。たとえば働き盛りの独身男性は、洋食に約1万8000円使っていますが、2人以上世帯では1人当たり約6000円に過ぎません。つまり、既婚者より3倍も洋食を食べているのです。またハンバーガーへの出費も、60歳以上を除けばやはり独身者のほうが上です。

 さらに、和食系の外食(特にトンカツや豚のしょうが焼き、すき焼き、しゃぶしゃぶなど)や、主食といってもいい弁当類と総菜にも、かなりの肉が使われています。

 総量で見ると、やはり既婚者よりかなり多くの肉を食べていると考えられるのです。

 大腸・直腸がんのリスクを下げるには、肉の量を減らす必要がありそうです。しかし、外食や弁当中心の食生活では、それもかなり難しい話。やはり多少面倒でも、自炊中心に切り替えるべきなのです。そうすれば、がんだけでなく、心臓病や脳卒中で突然死するリスクもかなり減らせるはずです。