また、血圧の下げ過ぎで、めまいや転倒リスクはやや増加しています。さらに、利尿薬などの併用によって、腎臓が悪くなる人も増えています。
心不全治療作用がある利尿薬を増やして血圧を下げると、利尿作用によって、心不全が起こりにくくなり、ひいては心血管死が減るということになります。日本でも多く使用されているカルシウム拮抗薬など他の薬を増やして血圧を下げても、同等の作用があるかどうか、この研究からだけではわからないのです。
その上、今回の研究期間は3年余りという短期であり、腎機能悪化、ナトリウム、カリウムなど電解質バランスの乱れ、めまいによる転倒リスクなどは、長期に観察して初めてその大きな影響が出てくると考えられます。
降圧の方法や目標値は人により微妙に異なるはずです。この研究でいえることは、「血圧下げ過ぎに耐えられる心不全リスクのある高血圧がある人の多くで利尿薬を併用して血圧が厳格にコントロールされると、心不全とこれによる死亡が予防される」ということでしょう。
しなやかな血管が命を守る