どうなる! 日本の医療

税金のためにボーナスカットも… 「消費税」が大病院を潰す

「厚労省も損税補填のため診療報酬を1.36%引き上げてはいる。しかし、それぐらいの引き上げでは焼け石に水で経営改善にはつながらなかったということです」

 2016年に診療報酬が実質マイナスになる中、再来年には消費税がさらに2%アップされ10%になる予定だ。都内や首都圏の病院は、ますます経営が圧迫されることになる。その解決策は“弱者の切り捨て”につながる。

「かつて、有明がんセンターが有明移転の借金等で存続を危ぶまれたことがありました。その窮地を脱し経営再建できたのは、不採算部門を縮小して他の病院より優位な外科部門を強化したためです。おかげで09年の1億4000万円の赤字が12年には32億円の黒字になりました。都内の私大総合病院も、不採算部門から撤退、強い部門を強化するしか生きる道はないかもしれません」

■消費税が大学病院を潰す本末転倒

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村吉健

村吉健

地方紙新聞社記者を経てフリーに転身。取材を通じて永田町・霞が関に厚い人脈を築く。当初は主に政治分野の取材が多かったが歴代厚労相取材などを経て、医療分野にも造詣を深める。医療では個々の病気治療法や病院取材も数多く執筆しているが、それ以上に今の現代日本の医療制度問題や医療システム内の問題点などにも鋭く切り込む。現在、夕刊紙、週刊誌、月刊誌などで活躍中。