役に立つオモシロ医学論文

「バイリンガル」は脳梗塞後のダメージが少ないって本当?

 その結果、認知機能を通常レベルで保っていたのは、バイリンガルの人で40.5%、モノリンガルの人では19.6%と、バイリンガルの人の方が認知機能の維持が統計的にも有意に多く保たれていました。また認知機能低下については、バイリンガルの人で49.0%、モノリンガルの人で77.7%と、モノリンガルの人で統計的有意に認知機能が低下していました。ただし、失語症については明確な差はありませんでした。

 操れる言語の種類によって、どのように認知機能保護効果が得られるかについては不明な部分もあり、すべてのバイリンガルの人にこの結果が当てはまるかどうかは分かりません。しかし、興味深い話です。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。