Dr.中川のみんなで越えるがんの壁

【飲酒の影響】“百薬の長”の目安は1週間で日本酒14合

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 いわゆる下戸は完全欠損型で、日本人の5%。この人はまったくお酒が飲めないので、飲酒による発がんの心配はありません。怖いのは、3人に1人が当てはまる部分欠損型の人。お酒を飲むと顔が赤くなる人が、このタイプ。発がん物質のアセトアルデヒドが分解しきれずに残って、顔が赤くなるのです。

 常に顔が赤くなる人はもちろん、飲み慣れるにつれ赤くなりにくくなった人も、部分欠損型と考えられます。そういう人は、正常型の人と同じ量の飲酒でも、発がんの危険性が高い。部分欠損型の人は、正常型の人より10倍食道がんになりやすいという報告もあります。

 特に顔を赤くして飲酒しながら喫煙するのは自殺行為です。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。