これまで最新治療のすごさと医療費の安さについて紹介したが、もっと驚くべき事実がある。世界には、HIVに感染しながら何十年も治療を受けずにエイズ発病を免れている人がいるのだ。そんな人は、「エリート・コントローラー」と呼ばれている。
国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センター長の岡慎一氏が言う。
「エリート・コントローラーは、エイズ感染者全体の1%程度とみられています。私が診察した患者さんの中にも、300人に2、3人の割合でいて、日本人の患者さんにもエリート・コントローラーがいるのです。その中には、1980年にHIV感染が確認されてから、35年間、発症していない人もいます」
まだエイズが知られるようになったばかりで、“不治の病”と恐れられていたころ。HIV感染者は、あたかも“バイキン”扱いされ、偏見が根強かった。そのころから、エイズ発病を免れ、フツーに生き続けている日本人がいるというのは、ビックリだ。
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