医者も知らない医学の新常識

インフルエンザの万能ワクチンが登場する?

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写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 インフルエンザが流行する季節になりました。皆さん、ワクチンの接種をなさいましたか?

「インフルエンザのワクチンは効かない」なんて話をどこかで聞いて、「だから打たない」と言われる方がいるかもしれません。

 確かにインフルエンザワクチンは「打てば絶対にかからない」というほど高い効果はありません。その大きな理由は、インフルエンザのウイルスは「抗原変異」という変化を繰り返しているからです。同じA型インフルエンザでも、抗原のタイプが同じでないと、あまり効果がないのです。

 そのため、毎年流行すると予測される抗原を用いて、ワクチンは作られるのです。むろん、予測は予測ですから外れることもあります。当然、外れれば効果は期待できません。

 ならば、どのようなタイプのインフルエンザにも効果のある万能ワクチンは作れないのでしょうか? 実は今、この万能ワクチンが国内外で盛んに研究されています。なかでも有望と思われるワクチンの研究データが、今年の秋に「サイエンス」と「ネイチャー」という、超一流の科学誌に掲載されました。

 これはインフルエンザの抗原の変化しない部分に対する抗体を産生させるような刺激を与えるワクチンで、動物実験では、すべてのインフルエンザに効果が認められています。鳥インフルエンザのような新型インフルエンザにも効果があるのです。

 一度ワクチンを打ってしまえば、新型インフルエンザがはやっても怖くない。そんな時代が近い将来、来るかもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。