薬に頼らないこころの健康法Q&A

荒れる息子にどう接するか?

井原裕 独協医科大学越谷病院こころの診療科教授(C)日刊ゲンダイ

 お母さまだけでなく、親戚の方々などいろいろな人に関わってもらって、彼を取り巻く“チーム”をつくるのがよいでしょう。大人たちとしては、大きな逸脱をさせないために小さな逸脱には目をつぶる度量も必要です。

 彼は、尾崎豊の歌に出てくるような若者です。まだ社会規範が内面化していない年代ですから、「ファウルライン」がどこかを確かめたくて、ぎりぎりを狙ってきます。夜の校舎の窓ガラスは壊して回っていないようですが、盗んだバイクで走り出すぐらいは何度かやっているのでしょう。

 大人たちとしては、小さな逸脱には目をつぶるとしても、「これ以上は許されない」というときには妥協せず、断固とした態度をとるべきです。平生は少々の非行には目をつぶっても、「これだけは許されない」というときには、厳然たる処分を下すことです。こうして、社会のルールというものをご子息にカラダで覚え込ませるのです。

2 / 3 ページ

井原裕

井原裕

東北大学医学部卒。自治医科大学大学院博士課程修了。ケンブリッジ大学大学院博士号取得。順天堂大学医学部准教授を経て、08年より現職。専門は精神療法学、精神病理学、司法精神医学など。「生活習慣病としてのうつ病」「思春期の精神科面接ライブ こころの診療室から」「うつの8割に薬は無意味」など著書多数。